8月25日(水)、理数科2年次生を対象に、今年度初となる「TN−アカデミックツアー」を実施しました。本ツアーは、環境問題やエネルギー問題を科学技術の力で解決しようとする企業や最先端の研究機関を訪問し、生徒の科学研究に対する視点を広げるプログラムです。
富西STEAM教育の一環として、持続可能な社会を支える技術に触れ、「探究する力」「創造する力」「共創する力」を育むことを目的としています。また、1日を通してSSH事業等で整備した環境放射線モニター(Radi)を携行し、移動先や各施設での環境放射線量の計測実習も行いました。
【午前】おおさかATCグリーンエコプラザ(環境問題・SDGs)
午前中は、大阪市にある「おおさかATCグリーンエコプラザ」を訪問しました。職員の方による講義を受けた後、約120社におよぶ企業がSDGsや環境保全への取り組みを提示する展示ブースを自主研修しました。
生徒たちは、脱炭素社会に向けた省エネ技術や、プラスチックの資源循環、再生可能エネルギーの活用など、各企業の工夫と熱意に触れました。単に製品を作るだけでなく、使用後の回収・再利用まで見据えた持続可能なモノづくりの重要性を実感する機会となりました。
【生徒の気づき・感想】
「企業がそれぞれの強みを活かしてSDGsを推進している現場を目の当たりにし、環境問題へのアプローチの多様さを学びました。」
「プラスチックや廃材を『ゴミ』として切り捨てるのではなく、技術によって『資源』へと生まれ変わらせる発想の転換が印象に残りました。」
【午後】京都大学複合原子力科学研究所(最先端科学・エネルギー)
午後は、大阪府熊取町にある「京都大学複合原子力科学研究所」を訪問し、研究用原子炉(KUR)とその関連施設を見学しました。
一般的な発電用原子炉(熱と蒸気で電気を作る施設)とは異なり、研究用原子炉は核分裂時に発生する「中性子」や「放射線」を取り出して医療・理学・農学など多分野の研究に利用するための施設であることを学びました。
生徒たちは、厚さ1メートルの重厚なコンクリート壁や重密閉ドア、停電時に電磁石が外れて自動的に落下する安全制御棒など、厳重な安全対策を直接確認しました。特に、万が一の放射性物質漏洩を防ぐため施設内が低圧に保たれており、退出時に扉を開けると内部へ向かって風が吹き込む仕組みや、水中で荷電粒子が光速を超えた際に発する青い「チェレンコフ光」についての解説に、多くの生徒が見入っていました。
【生徒の気づき・感想】
「『原子力=発電』というイメージがありましたが、中性子線を用いたがん治療(BNCT)や植物内の水分量可視化、古代土器の元素分析まで、幅広い医療・学術分野で役立っていることを知りました。」
「建物の構造から気圧管理に至るまで、徹底された多重の安全対策に驚きました。科学技術を正しく理解し、適切に制御することの大切さを学びました。」
【振り返り】自分たちの「課題研究」へつながる新たな「問い」
研修を終えた生徒たちは、最先端技術や企業の取り組みから刺激を受け、自身の課題研究に対する新たなアプローチを見出しています。
【研究手法や発想の応用】
「現在取り組んでいる『ヒイロタケを用いた色素増感太陽電池』の研究において、施設で学んだ水分量可視化や技術開発の視点を活かし、色素抽出の効率化や軽量化についてさらに深掘りしたい。」
「島津製作所の測定技術やスローカメラを用いた観察手法を参考に、ミルククラウンの形状変化の解析に応用してみたい。」
【探究心の広がり】
「放射線が持つ新たな可能性と、リスクを制御する技術の両面を知ることができた。身の回りの科学的現象に妥協せず、とことん問いを深めていきたい。」
環境問題への多角的なアプローチから最先端の核科学技術までを体感した本ツアーは、生徒たちにとって視野を大きく広げ、今後の進路選択や課題研究へのモチベーションを大いに高める貴重な1日となりました。丁寧にご指導・ご案内いただきました「おおさかATCグリーンエコプラザ」および「京都大学複合原子力科学研究所」のスタッフ・研究者の皆様に、心より感謝申し上げます。