昨年度と同じ場所(大京原橋中央付近)で、理数科1年次生がSS1フィールドワーク(那賀川水質調査)に取り組みました。今回は、水量が多かったため、昨年度よりも浅い場所での調査になりました。那賀川の調査に関しては、徳島県危機管理環境部環境管理課水質担当者の御指導のもと、安全に行うことができました。パックテスト用に表層の水を採取し、網を使って小魚・エビ・サワガニ等を採集しました。また、川底の石を裏返し、ピンセットで摘んだり、スポイトで水をかけてバットに落として水生生物を採集しました。水質階級を知る手掛かりとなる指標生物であるヒラタカゲロウ等の採集を目標にして調査を行いました。
水生生物による水質判定方法やパックテストによる水質分析を通して、身近な水環境を理解し、環境保全への関心を高める良い機会となりました。
演題:「課題研究の進め方」
講師:鳴門教育大学 寺島幸生准教授
理数科2年次生対象に、SS2特別講義を実施しました。2年次生の研究の進行具合に合わせた、相談型の講義形式で実施しました。生徒は、数分程度で研究内容をスライドを用いてプレゼンしました。研究を行っていく上で困っていることを中心に発表し、仮説の立て方、実験による検証の仕方、実験データの取り方などがありました。寺島先生は、生徒との対話を通して研究の進め方について丁寧にご講演していただきました。
今後は、寺島先生からのアドバイスをもとに、6月末の中間報告を目標に研究を進めていきます。
本年度の四国地区SSH生徒研究発表会は、愛媛県立西条高等学校で開催され、理数科3年次生が参加しました。午前中はポスター発表の準備とリハーサルを行い、開催行事の後、12:30よりポスター発表が始まりました。112テーマの研究をAからDの4グループに分け、発表・質疑応答合わせて15分間を、それぞれ3回ずつ行いました。
3回のプレゼンテーションを通して、他校の先生方や生徒間で活発な意見交換が行われ、異なる視点や意見を収集することができました。科学的な探究のために必要な資質の向上や課題研究の取組の活性化につながる良い経験をすることができました。7月の最終発表と論文執筆に向け、追加実験等を行い、質の高い研究を目指します。
第1部「太陽系の作り方」
第2部「重力可変装置を利用した課題研究の進め方」
講師 大阪大学大学院 久好圭治 特任研究員
大阪大学との高大連携事業を2部制で実施しました。第1部(6限)は、1・2年次生を対象に実施しました。惑星科学分野の研究について講義していただきました。太陽系がどのように形成されたのかについて、最新の研究結果を交えてわかりやすく説明していただきました。太陽系の惑星の形成について今まで信じられてきた「京都モデル」の矛盾点について、観測事実に基づき丁寧に解説していただきました。太陽系や生命誕生の謎を解き明かすために、隕石や微惑星の岩石中にある鉱物のもつ情報が必要であることも知ることができました。また、小惑星「りゅうぐう」から見事にサンプルリターンを成功させた「はやぶさ2」の「サンプルホーン」の開発には、久好先生が関わられた科学部の研究手法が利用されているそうです。
第2部(放課後)は、自然科学部と理数科の希望者対象に実施しました。久好先生がこれまでに関わってこられた科学部での研究や学会での発表エピソード、「はやぶさ2」開発にコラボしたこと等について、お話ししていただきました。微小重力を利用した研究が、教室内で簡単に精度良く実験できることを知り、今後の研究のヒントをいただきました。
久好先生は、午前中は大阪大学大学院の特任研究員であり、午後は高等学校の定時制で物理教師としての生活を20年以上続けられていました。先生の定時制での科学部の研究活動は、多くの方々と化学反応を起こし、さまざまなメディアにも取り上げられ、その活動が「書籍」(※)になっています。
(※)本校図書館にあります。是非読んでみてください。
「宙(そら)わたる教室」著者:伊与原 新、文藝春秋 「13歳からのサイエンス」著者:緑 慎也、ポプラ社
徳島大学理工学部の先生方と城南高校が主催となり、今回の研修会が実施されました。理数科1年次生と城北高校や海部高校も参加しました。三好先生がファシリテーターとなり、研修が進められていきました。
KJ法によるグループワークを行い、課題研究のテーマを決める過程を学びました。まず、模造紙いっぱいに、自由奔放な研究テーマを書いた付箋を貼り、グループ討論により、意味のあるまとまりごとにメモをカテゴライズし、全員一致で架空のテーマを設定しました。そのテーマの何について解明していくのかをKJ法により集約し、最終的に現時点で一番解明したい現象や手法を決定し、研究の方向性について最終発表しました。
本校生徒だけでなく、他校生のテーマ設定についてのストーリーも共有することができ、協働や共創の場となりました。次回は2月に、今回の手法をもとにSSの時間を使って本テーマを決定し、発表を行う予定です。
演題「あなたを守る免疫の仕組み」
講師 徳島文理大学薬学部 深田俊幸教授
理数科1年次生が、深田先生による講義を聴講しました。まず、免疫についての仕組みをわかりやすく丁寧に説明していただきました。次に、新興感染症の基礎知識と、エイズの特効薬に関わられた日本人医師についてのお話を聞きました。エイズは不治の病ではないことを初めて知りました。薬学に関する知見を広げることができ、医療人としての倫理観や使命感について深く考えることができました。
鳴門教育大学大学院の研究員による英語で理科授業を本年度も行いました。昨年度より、普通科2年次理系の生徒にも実施しています。2限目は普通科、4限5限は理数科生徒を対象にオールイングリッシュでの理科実験授業を実施しました。SAGAR Meenal Yashna:フィジー(主授業者)、SHI Weina:中国、LI Ying:中国(補助授業者)各先生による「混合物と分離」を2・5限目に、JAMO Deila:モザンビーク(主授業者)、BANZE Alaudino:モザンビーク(補助授業者)各先生による「食物の分類(含有タンパク質検出)」を2・4限目に実施しました。実験やグループワーク及びディスカッションを行い、事前に配付された単語リストを活用し、コミュニケーション力をフルに発揮して授業に挑みました。
交流会では、研修員の出身国の紹介を英語でプレゼンしていただいた後、理数科2年次生が課題研究のアブストラクトを1分程度で発表しました。生徒は、科学的な内容を英語で理解するという貴重な体験により、語学を学ぶ意識が高まったようです。
京都大学が高大接続・高大連携活動の一環として、全国的に展開している学びコーディネーター事業を利用して、理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻 博士後期課程の大学院生に「元素の起源」というテーマで出前授業をしていただきました。
宇宙に存在する元素が、どのように合成されてきたかについて、1.ビッグバンによる合成過程、2.恒星の内部での合成過程、3.鉄よりも重い元素の合成過程について、図や動画をもとにわかりやすく説明していただきました。現在研究中の超新星爆発による元素合成の過程についての説明や、世界初の観測に成功したお話などは、生徒の興味・関心が最も高いものでした。
今回の授業を受け、「元素の起源」を研究することは、生命の起源の完全な理解につながることがわかり、宇宙・惑星科学分野における研究の魅力や醍醐味を感じることができました。
理数科2年次生11名が、阿南市横見小学校の6年生13名を対象に理科実験教室を実施しました。まず初めに、液体窒素によるサイエンスショーを行いました。
膨らませた風船やテニスボール、生花を次々に液体窒素の中に浸していき、取り出した後の様子や、現象を観察しました。膨らませた風船を液体窒素の中に浸すと、超低温のため急激に縮み、外に取り出すと、もとの大きさに戻る現象のしくみについて理解した後、十分に冷却されたソフトテニスボールを床に落下させ、ゴムの性質が無くなり、粉々に砕け散る様子から超低温現象を実感してもらいました。最後に、生花を超低温にして、手で握るとパリパリと音を立てて粉々になってしまう現象を実際に小学生にも体験してもらいました。
次に、空気の流れの不思議と題して、流体力学に関する実験を行い、飛行機が飛ぶ理由について考察しました。学んだ知識を応用し、空飛ぶコマの作成を行いました。出来上がったコマを、高く飛び上がらせるコツを教えてもらいながら、全員が見事に飛ばすことができました。
SSH校として理科好きの生徒達を増やしたいという願いから小学生や中学生を対象として実施しています。今後も、続けていきたいと考えておりますので、気軽にお申し込みください。
理科出前教室BY SSH富岡西高校.jtd
演題:「省エネに貢献する 日亜化学の磁性材料」
講師:日亜化学工業株式会社 第三部門 磁性材料製造部 冨本 高弘先生
理数科1・2年次生を対象とした講演を実施しました。冨本先生は、「省エネに貢献する 日亜化学の磁性材料」と題して、①会社紹介、②近代永久磁石の開発の歴史と磁力発生のメカニズム、③日亜磁性の製法の独自性、④今後の磁性材料事業の展望について、順を追って話をしてくださいました。
初めに、日亜化学工業の会社紹介があり、自社で製造・開発中の希土類を原料とした磁性体についてわかりやすく説明をしていただきました。特に強力な磁石の開発には、磁性材料の生成技術が欠かせないことなど、専門的な知識について多くのことを学びました。最後に研究者として、将来の進路選択等に生かせる貴重なアドバイスをいただきました。
本日、理数科1年次生によるフィールドワークを実施しました。那賀川の水質調査・水生生物調査と学校周辺の露頭における自然放射線の測定を行いました。那賀川の調査に関しては、徳島県危機管理環境部環境管理課水質担当者の御指導のもと、安全に行うことができました。水生生物による水質判定方法やパックテストによる水質分析を通して、身近な自然に接することにより、環境問題への関心を高める良い機会となりました。自然放射線の測定においては、測定精度の高い装置を用いて、様々な場所やサンプルの放射線(ガンマ線)量を知ることができました。どのような場所が数値が高く(又は低く)なるのかを考えながら、グループで協力して測定を繰り返しました。教室では、ユークセン石等の放射能鉱物標本の測定を行い、自然放射線(バックグラウンド:B.G.)を差し引いた値が、正味の値として得られることを学びました。
今回のフィールドワークは、地域資源を有効活用し、科学的思考力を伸長し課題を発見する力を育むための良い経験となりました。
演題:「よい課題研究はよいテーマ&問い&仮説から」
-課題設定のコツとヒント-
講師:鳴門教育大学 准教授 寺島幸生 先生
講義内容:理数科2年次生を対象とした特別講義を実施しました。「テーマ」、「リサーチクエスチョン(問い)」、「仮説」の3点セットをしっかりと設定することで、誰もが見聞きしたことのある身近な現象でも、よい研究となり、新しい成果になることがわかりました。また、テーマ探しのヒントを先生の経験をもとに具体的に説明してくださいました。
生徒の感想:今回の講義を受講し、「よい研究には結果が予想しやすいものが多いということがとても意外でした。」「身近なところから研究テーマを見つける方法が分かってよかった。」「仮説を立てる大切さを改めて理解しました。同時に、私たちの仮説も見直してみようと思いました。」などの前向きな感想が多くありました。自分たちの課題研究が、よりよい研究となり新しい成果になるような研究を目標に頑張ります。
本年度の四国地区SSH指定校(10校)による生徒研究発表会は、高知県立高知小津高等学校で開催され、対面形式によるポスター発表に理数科3年次生が参加しました。午前中はリハーサルを行い、午後12:15から開催行事が行われ、12:30よりポスター発表が始まりました。104テーマの生徒研究をAからDの4グループに分け、各グループが、発表・質疑応答合わせて15分間を、それぞれ3回ずつ行いました。
発表を通して、科学的なコミュニケーションが活発に行われました。また、聴衆に対して短時間で要点を分かりやすく伝える能力を磨くことができました。今後の研究に参考になる貴重なアドバイス等をいただくことができ、有意義な時間を過ごすことができました。7月の最終発表に向けて、さらに実験データを収集し、研究を深化させていきたいと思います。
「課題研究や科学部研究のテーマ設定及び研究の進め方に対する指導・助言」
場所 :各高等学校(城南高校よりZoomでオンライン配信)
参加者:理数科1年次生
指導者:徳島大学理工学部理
三好 德和 先生(化学) 石田 啓祐 先生(地球科学)
小山 晋之 先生(物理学) 久田 旭彦 先生(物理学)
渡部 稔 先生(生物学) 片山 真一 先生(数学)
大渕 朗 先生(数学) 上野 雅晴 先生(化学)
第2回内容:各グループで課題研究予定内容を発表し、質疑応答を行い、研究内容や研究の進め方に対する指導助言
第1回と同様にオンライン開催となりました。富岡西高校・城南高校・徳島市立高校・城北高校の徳島県理数科4校の生徒と徳島大学等がオンラインでつながり実施されました。まず、各会場でブースAからブースFの6ブースにグループが別れ、順に各グループの発表を行いました。各グループ発表後に質疑応答を行い、研究内容や研究の進め方に対して、それぞれのブース担当の先生から指導助言を頂きました。
本校生にとっては、他校の生徒との科学的意見交換を通して、これからの研究内容等の手法や方向性について考える貴重な場となりました。
このような貴重な機会を与えてくださった徳島大学理工学部の皆様、そして今回の参加でご支援くださった徳島県教育委員会・城南高校SSH事務局の皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。